数学的にありえない/アダム・ファウアー

数学的にありえない
アダム・ファウアー著 矢口 誠 訳 文藝春秋

ちょうど仕事がオフだったので、
上下巻合わせて600P、一気に読みきってしまった。

風呂でボーっとして、ビール一杯。
心地よい読後状態で、これを書いている。
目が疲れていないのが不思議といえば、不思議。
作品がエンターテイメントとして一流だったことの証なのだろう。

訳者はノンストップ系サスペンスと表現しているが、
読者を飽きさせるような箇所がない。
知的好奇心を満足させながら話が進むのはダヴィンチコードと同じ。
難しい話は平たく書き下ろされているし、
バイオレンスシーンも要所要所に、その配分は絶妙。

実は、この本で一番気になったのが、巻末にあった著者から関係者への謝辞。
この本が「作品」となるまでの関わっているスタッフの多さに驚いた。
著者を支えるチームの物量(知量)が凄い。
多くの目で支えているから、端々までシェイプアップされているのだろう。
日本の書き下ろし小説のお寒い状況とはえらい違いだ。

ただ、俺の最終的な評価は★3ツじゃない。
優等生なんだ、この本。
楽しかったけど、もうひとつ抜けてない。
付け入るスキのない緻密なプロットはいいが、
特別驚くようなストーリーとは思わない。
古典的SFとサスペンスが上手に融合しただけと言ったら失礼か?
よく出来たハリウッド映画を読書する―そんな印象だった。

★★☆(映画化が楽しみ、特に女スパイを演じる役者!)