天使と悪魔/ダン・ブラウン

天使と悪魔 ヴィジュアル愛蔵版
ダン・ブラウン著 越前敏弥訳 角川書店

仕事が忙しかったせいもあって、一気読みはできなかったが、
毎日こつこつと読んでいて、後半は6時間かけてドカンと読み抜いた。

ダン・ブラウンダ・ヴィンチ・コードの3年前に書いた本。
舞台はヴァチカンとローマ、テーマは「宗教と科学の対立」。
キリスト教世界と科学との軋轢が背景で、イルミナティなる秘密結社が登場する。
核より怖い反物質爆弾を盗んだテロリストが、
コンクラーベ最中のヴァチカン市国を国ごと葬り去ろうとし、
それを止めようとする宗教学者ダ・ヴィンチ・コードにも登場)と、女性科学者。

俺には、大ヒットとなったダ・ヴィンチ・コードよりおもしろかった。
スケールの大きな設定と緻密な取材(ローマ教皇にも会っている)。
ミステリーらしい仕掛けや後半への盛り上がり、そしてドンデン返し。
エンタメ的な暴力シーンや、ちょっとした恋愛モード。
よくぞ、ここまで…といった出来栄えだ。

図書館で借りて来たのがヴィジュアル愛蔵版(定価4700円!!!)で、
絵や彫刻、ポイントとなるローマの建物などの写真がふんだんに使われているのもよかった。
写真があるのとないのでは、この本の印象が違うかもしれない。
特に建物、彫刻の写真がポイントで、
ストーリーの展開上、謎解きにも関係する重要な部分のため、
文字だけでは(おそらく)イメージできないところを、
写真が明確にしてくれる。

この本もダ・ヴィンチ・コード同様、映画化されるそうだが、
よほど大きな決断をしないと、作品としてはまた失敗する。
まず、上映時間の問題、2時間30分程度で収まりきりそうもない。
爆発までの時間勝負、スリリングな展開は「24」級。
次から次へと難題が降りかかる。
休憩入りの4時間~6時間でどうだろう?
そのぐらい見せ場、見せ所はあるはずだ。

★★★(二度読む気はしないが、エンタメとして最上級ランク)