砂漠の薔薇/新堂冬樹

砂漠の薔薇 新堂冬樹著/幻冬舎

ネタバレ少し有

冒頭から子供を埋めるシーンからスタート。
おぅおぅ、チャレンジャーだな新堂はいつも…という書きだし。

ストーリーは「お受験」を軸にした、
一人の屈折した女性の幼少期からのお話。

世の中にあまたある子殺し。
いまだかつて、お受験殺人は表だってないが、
あって不思議のない「お受験」の現実がバカバカしくて笑わせる。
ガラガラポンという抽選機による一時試験と、
人間関係の入り組んだ面接、半ば談合による二次試験。
「お受験」に、情報交換の仲間として、ライバルとして、
徒党を組んで挑む母親達の精神のどつきあいが描かれる。

読後感は「2時間ドラマだな、こりゃ」
少し消化不足。
いつものように登場人物が生き生きしていない。
女性だけが多いせいかも…。男はまったくの脇役。
そこもチャレンジャー新堂だからなのだが。
ヒーロー、ヒロインのいない小説だけに難しさはあるんだろう。

公園で出会った、お受験とは無縁の母と子。
ストーリーとは関係なく登場し、
作者のメッセージを伝える役回り(だと思うのだが)、
この人をもう少し活かして欲しかった。

★受験に使うガラガラポンのシーンに星ひとつ
(これも幻冬舎発行かぁ、幻滅続きだな)