男自転車ふたり旅 イタリア1200km

男自転車ふたり旅

制作:NHK 出演:猪野学蟹江一平

年末、風邪で寝込んでいるせいもあって、気楽なTVライフの日々。
旅モノ好きな俺が「イタリア1200km」というタイトルは見逃さない。

晩秋の北イタリア、大地を走る二人の姿…のナレーション。
自転車の二人を追う、バイクからの撮影もしっかり、スピード感と景色はなかなか。
ところが、ところが、その後のナレーション。
「行き当たりばったりのふたり旅、いったい何が起こるのでしょう?」

おいおい、雲行き怪しくないかい?
NHK不振の俺はすぐ疑念を抱くんよ。
「行き当たりばったり」なんて言っちゃていいのかよ~

以下、代表的な行き当たりばったり
※偶然入ったアグリツーリスモ。そしたらそこは白トリュフ採取可能で同行撮影。
※迷い込んだ夜の山中。読めない看板見て叫んだら、著名作家が出てきて家に宿泊。
※街で日本人妻を持つコメディアデラルテの役者とバッタリ遭遇。家で即興寸劇。

最初は「へ~、そうなの」と真剣になるけど、
次の瞬間に「ダマされちゃった」と気づくので、
ツッコミどころ満載で楽しいけど…
偶然も3乗、4乗、5乗となるとねぇ、もうついてけない。

番組の中で、唯一、偶然があるとしたら、
道に迷って目的地でない、別の温泉に着いたところだろう。
イタリア人コーディネーターなら、いかにもありそう。
これが仕込みだったら、俺は騙された! 凄い!

旅モノで、行き当たりばったりでロクでもない絵を見せられるより、
仕込みでもドラマチックな展開は合った方が楽しい。

でもその嘘が、俳優達に負担をかけたりすると見ていて辛くなる。
知らんぷりしてやっている役者達は、道化にしかならない。
かけあいでコメディをやっても、歌を歌っても、嘘に紛れる。
役者人生を投影するシーンが差し込まれたりしてもシラけるだけだ。

それでもテンション上げ上げで、やるっきゃないよな。
最後に流した涙もなぁ、痛い。
かいた汗が本物だから、涙も本物だろう。それはいい。

制作者は、どうしてああも長ったらしく「お涙シーン」を流せるのか?
泣かせるのは(笑わせるのは)、お客さんで、自分達じゃないだろ。
男の涙なんかカッコいいもんじゃない。
問答無用の早送り!

★は1個(企画は◎、構成、演出、編集は零点)