それでもボクはやっていない

それでもボクはやっていない
監督:周防正行 主演:加瀬 亮

ちかん冤罪事件を扱った再現ドラマのような映画。
リアルなようでリアルじゃない違和感。
始まって10分すると眠くなった。
お金をかけて映画にするような事なのだろうか?

まあ、その話はあと回し。

この映画が特別な手法を使っていることはわかる。
登場人物のバックヤードはストーリーでフォローせずに、
出演者の演技の積み重ねで見せていく。
主人公が母子家庭らしいことや、彼女と別れた経緯などは省略。
その点が、人物背景をしつこく描く2時間ドラマ(TV)との違い。

話を戻して、昨年放送された志布志事件の報道ドラマ。
食い入るように見ていたことを思い出す。
ちかん冤罪事件も、今まで何度か報道番組で取り上げられていた。
再現ドラマのクオリティは低くても、リアリティの面では映画より勝る。
そこには「現実」があって、ほんものの生活があるから。

この映画の主人公はフリーター。
壊れていくはずの生活そのものがまだ確立していない。
薄っぺらく生きてきたの中での戦い、だから「ボク」。

あえて、そういう主人公を据えたから、
背景を省略できて、冤罪そのものにスポットが当てられた。
そこが、映画としては一本筋が通った点だろう。
大事な面接に履歴書を忘れたり、満員電車にギリで乗り込んだりすることで、
「ボク」のダメさかげんを表現するのも納得。
もたいまさこが親で、そんな馬鹿に育つとは思えんが…)

で、この映画の立ち位置は?ということになる。

「冤罪事件のお勉強ドラマ」
それにつきる。

誰がこの映画を見て喜ぶのだろうか? 泣くのだろうか?
感情を揺さぶられるのだろうか?

俺は何も感じない。
だから言う。つまんない。

★なし(日本アカデミー賞とは相性合わないようだ)